IMO、船舶の燃料規制とゼロエミッション船インセンティブ制度を基本合意

2025年05月09日

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国際海事機関(IMO)は、2050年頃までに船舶からのGHG排出量を正味ゼロとするための法的拘束力のある枠組み(ネットゼロ枠組み)の構築に向け、4月に開催された第83回海洋環境保護委員会(MEPC 83)において、➀燃料規制制度と➁ゼロエミッション船等に対する経済的インセンティブ制度について基本合意しました。
 
これらの措置は船舶による汚染防止のための国際条約(MARPOL条約)附属書VIの第5章として新たに盛り込まれ、2025年10月に正式に採択され、2027年に発効する予定です。
 
国際海運からのCO2排出量の85%を占める、総トン数5,000トン以上の大型外洋船舶に適用が義務付けられます。
 
➀燃料規制制度
船舶の使用燃料のGHG強度(エネルギー当たりのGHG排出量)を規制し、その規制値を2050年に向けて段階的に強化していく制度で、規制値を超える場合には他の船舶から余剰分を移管し相殺する、または、負担金(380米ドル/teCO2(57,000円/teCO2、1米ドル=150円換算))を拠出することが求められます。
 
➁ゼロエミッション船等に対する経済的インセンティブ制度
ゼロエミッション船となる技術を採用している船舶に報奨金が支払われ、早期の燃料転換にインセンティブを与える制度で、➀の燃料規制制度で拠出された負担金や使用燃料が基準値を満たさなかった船舶から拠出される負担金(100米ドル/teCO2)で構成される「IMOネットゼロ基金」からインセンティブが配分されます。
 
本会合では、船上CO2回収システム(Onboard Carbon Capture Storage systems: OCCS)の利用に関する規制枠組み策定の計画案も承認されています。
 
詳細は以下をご覧ください。
 
IMOによるプレスリリース
https://www.imo.org/en/MediaCentre/PressBriefings/pages/IMO-approves-netzero-regulations.aspx
 
国土交通省によるプレスリリース
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji07_hh_000367.html
 
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