平素は格別のお引き立てとご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
日本エヌ・ユー・エス株式会社(略称JANUS)の創業に奔走した先達は、日本で初めて原子力利用で発電した実証炉や商用炉の導入に商社マンとして関わり、その後の1971年6月3日、日揮株式会社(当時)と米NUS社の合弁で日本の原子力発電業界初のコンサルティング会社JANUSを誕生させました。創業まもなく、米国での原子力開発に係る経験等を踏まえて、JANUSは環境影響評価をはじめとする環境分野にも進出し、先達の思い描いた「エネルギーと環境の総合技術コンサルティング企業」として発展を続けて参りました。
この50年で人々の暮らしや考え方、あるいは社会のあり方は大きく様変わりし、日本もグローバル化の時代になりました。グローバル化した社会では、2015年に気候変動対策として合意されたパリ協定と、同年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)を尊重して社会的責任を果たすべく、脱炭素社会へと向かっています。
パリ協定では、世界的な平均気温の上昇幅を産業革命前よりも2℃未満の水準に抑制し、理想的には1.5℃未満に抑える目標を掲げています。この目標を達成すべく、現在、世界では様々な取り組みが模索されています。例えば、発電所から排出されるCO2を分離回収して地中に埋めるCCSの他、分離回収したCO2を利用するCCUも盛んに検討されています。その一つとして、再生可能エネルギーを使って水を電気分解し、得られた水素とCO2を反応させる燃料の合成も研究開発されています。再生可能エネルギーを用いれば、CO2を排出せずに化学品等も製造でき、排出量以上に回収するネガティブエミッションへの可能性も拓けていくことでしょう。
JANUSは、今後取り組みが本格化していく脱炭素社会構築の先頭に立っていきます。創立時から携わってきた原子力発電関連コンサルティングは脱炭素社会への取り組みの一つでもあります。また、これまで様々な環境問題で培ってきた経験や技術力を活かして、CCUS、二国間クレジット(JCM)、再生可能エネルギー事業等の脱炭素化、そして気候変動への適応といった、今後の社会に一層役立つ業務に取り組んでまいります。
世界中の企業がSDGsを掲げて自社で出来ることを実行し、変革をもたらそうとしている今、JANUSもコンサルティングの枠を超えていきたいと考えています。その形の一つとして、複雑化した社会問題を利害関係者と共に解決するマルチステークホルダーパートナーシップを通じて社会貢献すると共に、協働事業から創出される新たなビジネスモデルを展開してまいります。
また、私たち日揮グループは、「世界を舞台に、技術と知見を結集して、人と地球の豊かな未来を創る」ことに、企業グループが一体となって一層の取り組み社会貢献していくために、2019年10月より持株会社体制に移行しました。JANUSも日揮グループのコンサルティング会社としての役割をこれまで以上に強化して、日揮グループの成長に尽力してまいります。
不易流行の精神で、元気ある豊かな未来のために、皆さまと共に考え、実行していく所存です。よろしくお願い申し上げます。
2020年4月1日
代表取締役社長 近本 一彦