背景と課題
米国ブラウンズフェリー原子力発電所において1975年に発生した火災では、発電所の安全機能に影響が生じ、原子力施設での火災防護対策の重要性が認識されました。
我が国においても、その後、火災防護に係る規制体系が整備されるとともに、より定量的かつ具体的な火災防護の設計や評価を目的として、民間指針類が整備されました。
また、福島第一原子力発電所の事故を踏まえて策定された我が国の新規制基準では、火災防護対策のさらなる強化を目的に、難燃性・不燃性材料の使用、火災感知・消火設備の多重化・多様化、安全上重要な区域における系統分離の徹底を厳格に要求しています。
火災防護対策の効果的な実施においては、各種対策の有効性評価や維持管理、さらには新たな知見に基づく対策の見直し・追加といった課題が挙げられます。
また現在、米国等の諸外国においては、火災リスクの定量的評価や火災防護対策の高度化を目的として、多くの発電所において火災確率論的リスク評価(PRA)が実施されています。今後、我が国においても火災PRAの実施が予想されますが、火災PRAの実施には、評価の前提となる種々のデータセットの整備や高度な技術を有する専門家(事業者側、規制側)が必要となります。
さらに、原子力施設向けの火災防護サービスで培ったノウハウをもとに、 原子力施設以外の産業施設の防火対策の高度化もこれから推進していく必要があると考えられます。
サービス/技術
JANUSは、原子力施設向けの火災防護に関して先進的な取り組みを実施している米国の研究所やコンサルティング企業と共同で、原子力施設の火災防護対策に関する様々な取り組みをサポートすることを目的とした数々のサービスを提供しています。
海外の火災防護に係る調査
米国の原子力施設における火災防護対策や火災PRAの実施状況について、規制文書等を対象にした文献調査や現地訪問調査を行います。
火災防護対策の評価
米国のコンサルティング企業と共同で、お客様の原子力施設に訪問し、火災防護対策の評価を行います。
火災試験
米国の研究所において、原子力施設の火災防護対策の評価や火災PRAの実施に必要なデータセットの整備等を目的とした火災試験を実施します。
ケーブルトレイ火災試験
出典: U.S. NRC NUREG/CR-7010 Vol.1, Cable Heat Release, Ignition, and Spread in Tray Installations During Fire (CHRISTIFIRE) Phase 1: Horizontal Trays, July 2012
産業施設向けの防火対策高度化
原子力施設向けの火災防護サービスで培ったノウハウをもとに、 原子力施設以外の産業施設の防火対策の高度化に関するサービスを提供します。
業務実績/サービス例
- 海外原子力発電所の火災防護関連調査
- 火災防護対策の評価
- 原子力施設電気設備等火災試験
- 火災防護専門知識普及業務
- 産業施設向けの防火対策高度化
参考文献
長岐雅博. 原子力発電所の火災防護に関する規制の変遷と現状-米国を対象として-. 日本火災学会 平成27年度研究発表会.