背景と課題
科学技術は、豊かで健康な生活を支えるメリットがある一方で、多かれ少なかれ環境への負荷を与えています。環境は人類共有の財産であり、影響を与える可能性(リスク)を最小限にするように適切なリスク管理を進めていく必要があります。
リスク管理者(事業者あるいは行政機関)や専門家は、最新の科学的知見に基づくリスク管理によって安全の確保に努めます。当たり前のように使っている”安全”という言葉ですが、元々、危険がなく安心な状態を意味します。言い換えれば、安全を確保するとは、危険なことがないかどうかを評価し、社会に受け入れられる安心な状態を保つということになります。
人々の価値観は多様化しており、それにより科学技術のメリットやリスクに対する感じ方も異なります。特に、リスク管理者と社会との間に生じた情報量や価値観のギャップが大きいほど、ひとたび問題が発生した際には、強い不信感をうみだし、その安全性は受容され難いものとなります。
このような課題を解決するためには、多様な利害関係者が、双方向の”コミュニケーション”を図り、価値観を共有することが最も有効であり、リスクコミュニケーション、科学技術コミュニケーション、利害関係者関与、住民参加といった社会科学的な学問分野の知見が活用されるようになりました。
リスクコミュニケーションは、より良いリスク管理や科学技術のガバナンスを進めるため、関係者が情報及び意見を交換する相互作用のプロセスです。この手法により、利害関係者間の相互理解や、リスク管理者に対する信頼感の向上につながり、ひいては、リスクに対して共通の認識を持ち、適切なリスク管理に向けて一緒に取り組むことが可能になります。
こうした手法を利害の対立を含む実社会の中に適用していくには、経験とスキルの蓄積が必要となります。
サービス/技術
JANUSは、3つのステップによる課題解決へのアプローチを提案します。情報調査から、アウトリーチ、対話の場の運営まで、一連のコミュニケーションプロセスを支援します。
Step1 社会のニーズをつかむ
- 手法・事例を調べる(国内外の様々な分野/産業での先進事例や手法の調査)
- 人々の声を聴く(アンケート、グループインタビュー、ビッグデータ分析など)
- 自組織の状況を把握する(経緯や体制の把握、組織風土や他組織との関係などの特徴分析)
Step2 つたわるための工夫
- 計画をデザインする(目的と評価軸の設定、スケジュールの策定、体制の整備など)
- キーメッセージを決定する(伝えるメッセージの構成、ストーリー)
- 伝達方法・媒体を選定する(特性を踏まえた選定)
- 説明素材を作成する(冊子・パンフレット、パネル、模型/ジオラマ、映像、ホームページなど)
- コミュニケーターを育成する(研修プログラムの作成、 実施)
Step3 コミュニケーションを通じてつながる
- 対話の場を設計・運営する(プログラム、会場配置、ルールづくり、司会(ファシリテーション)、専門家としての説明、記録)
- コミュニケーションを評価・改善する(結果のとりまとめ、計画の見直し)
JANUSは、環境アセスメント、化学物質管理、大気汚染、水環境・水生生物の保全、土壌・地下水汚染、脱炭素技術(CO2貯留、アンモニアの燃料利用)、原子力・放射線、放射性廃棄物、EMF(電磁界)などの分野での実績を活かして、これらの専門分野のコンサルタントとコミュニケーション分野のコンサルタントが協働することにより、幅広いテーマへの対応が可能です。