背景と課題
近年、各種の無線機器等の急速な普及に伴い、電磁波の健康影響に対する人々の関心が高まっています。
「電磁波」とは厳密には、電界と磁界が相互に作用しながら、空間中を波のように伝播する物理現象の総称であり、周波数が低い(波長が長い)方から、電磁界、赤外線、可視光線、紫外線、放射線(エックス線やガンマ線)が含まれます。いわゆる「電磁波」の健康影響として論じられる場合は、一般に周波数が0Hz〜300GHzの「電磁界」を指すことが多く、以下ではこの「電磁界」について説明します。
電磁界の健康影響については、これまで数十年にわたって膨大な研究が実施されてきました。これにより、健康影響を生じるメカニズムとして、0Hz〜100kHzの低周波電磁界(主に電力設備や家電製品等から生じるもの)では誘導電界の発生による神経組織の刺激、100kHz〜300GHzの高周波電磁界(主に通信・放送設備や無線機器等から生じるもの)では生体組織へのエネルギー吸収による加熱が、それぞれの原因であり、これらの影響を生じる閾値レベルも解明されています。この閾値レベルに対して十分な安全率を考慮したガイドラインが国際的な専門家組織により制定されており、世界保健機関(WHO)は、このガイドラインに従った基準を導入することを、加盟各国に推奨しています。
しかしながら、「送電線の近くでは小児白血病のリスクが高い」とか、「携帯電話のヘビーユーザーは脳腫瘍のリスクが増加する」といった、疫学研究の結果がしばしば報告されています。但し、これらの疫学研究では様々なバイアスの可能性が否定できないことと、動物実験や細胞実験ではガイドラインよりも遥かに高いばく露レベルでも悪影響が再現性をもって確認されていないことから、WHOは「国際的なガイドラインよりも低いレベルの電磁界ばく露によって、健康影響が生じるという科学的根拠は得られていません」としています。
それでも、身のまわりの電磁界へのばく露によって健康影響が生じるかも知れないと懸念する人々もいます。
サービス/技術
JANUSでは、電磁界によって生じるかも知れない健康影響に関する、国内外の研究動向、規制・基準の状況、社会問題等について、幅広く調査を実施しています。また、WHO主催の各種会議・ワークショップ等にも多数参加し、海外の専門家との接点も多く、ニーズに応じた調査が可能です。
これまでの実績として、中央官庁等から、各種の調査業務を受託しています。
業務実績/サービス例
- 環境省 一般環境中電磁界ばく露に係る情報収集業務(平成19〜26年度)
- 経済産業省 電力設備電磁環境影響調査(情報調査提供事業のうち電磁環境整備調査)(平成16〜18年度)