国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に参加しました

2021年11月

2021年11月1日〜14日にかけて英国スコットランドにおいて開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に、ポーランド政府代表団の一員として参加した。
今回の参加者は約4万人と、パリ開催時は約3万人、マドリード開催時は2万人程度であったことを考えると、今回の注目の高さがうかがえる。


1.UNFCCC COP26議題関連のポイント
●野心の引き上げ

成果文書(Glasgow Climate Pact)では「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意する」と明記され、そのためにこの10年間での行動を加速する必要があるとされた。6年前に採択されたパリ協定では気温上昇を2度未満に保ち、1.5度は努力目標とされていたが、今回1.5度に抑えることが事実上、世界の新たな共通目標となった

●炭素市場のルールの明確化
  • JCMに直接関わる国際的なカーボンクレジット市場の実現に必要な制度(パリ協定6条2項)が合意された(カーボンクレジットの定義、カーボンクレジットの二重計上を回避するルール、報告、レビュー等の運用ルールが定められた)。
  • 国連管理下での炭素市場取引(パリ協定6条4項)については、2013年以降に発行されたカーボンクレジットをパリ協定下に持ち越すことを認めた。
●石炭火力の段階的削減
  • 全ての国に対して、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電のphase down(段階的削減)、及び非効率な化石燃料補助金からのphase out(段階的廃止)を含む努力を加速することを求める。
    (注 インドは、合意文書採択の直前に「排出削減対策が講じられていない(unabated)」石炭火力について、「段階的廃止(phase out)」ではなく、「段階的削減(phase down)に向けた努力を求める」との文言に修正するよう要求。最終的に認められた。また、「排出削減対策が講じられていない」、「非効率」の表現について、その定義は明確化されていない。)
●途上国への資金支援
  • 先進国に対して、現在約束している年間1000億ドルの資金を着実に維持すること、また2025年までに途上国の適応支援のための資金を、2019年比で最低2倍にすることを求める。途上国への資金支援をパッケージで議論したことも今回の会議の特徴。
  • 2025年以降の新たな途上国支援に関し、数値目標の議論を開始する。新たな協議体を立ち上げ、2024年までに議論することになった。


2. COP26 日揮グループの参加
COP26会場では、日揮グループとして、日揮HD、JANUSが様々な形で参加を行い、脱炭素化に向けた取組みや技術の紹介を実施した。

●JANUSの取組み
JANUSは現地時間の11月10日の15:00-16:30に経済産業省主催のサイドイベント「JCM と CEFIA を通じたアジア地域のエネルギートランジションに貢献する日本のグリーンイノベーション」に工藤環境本部長がオンラインで参加し、グンディCCUSプロジェクトの紹介を行い日揮グループの技術力を示すことが出来た。


ジャパンパビリオンのオンラインでのサイドイベントの様子(当社工藤取締役本部長:右下)



ジャパンパビリオンのオンラインでのサイドイベントの様子


●日揮の取組み
日揮はジャパンパビリオン内に「廃プラスチックの資源循環を実現するケミカルリサイクル技術の紹介」の展示を行った。またヴァーチャル・ジャパン・パビリオンには、「CO2分離・回収技術 HiPACT®/DDRゼオライト膜」、「水素社会を実現するソリューション AMUSE®?」を出典し、環境技術への取組みについて参加者に広くアピールを行った。


ジャパンパビリオン全景



ジャパンパビリオン内で展示内容(日揮の廃プラガス化リサイクル技術)を説明する様子


3. 所感

  • COP26会場内では若者によるデモ、イベントなどが多数行われていたが、これらの声は前回のCOPと比較しても格段に大きくなっており、少なからず交渉の行方に影響を与えたと考えられる。今後も2030年に向かって同様の動きは、さらに勢いを増すと予測される。
  • 日本は2030年目標を−46%に引き上げ存在感を高めた。一方、この目標は努力目標ではなく国際公約となり、当然実行することはもとより2030年には−50%の目標を求められる可能性も出てきたと感じる。
  • 2030年までは残り9年しかなく、あらゆる取組みを早急に開始しなければならないと改めて認識した。

以上