米国EPA、新設・既存発電所のGHG排出規制のための最終規則を公表
2024年05月10日
米国EPAは、新設・既存発電所のGHG排出規制のための最終規則を公表しました。昨年5月に公表された提案時と大きく異なる点としては、「低GHG水素の混焼」を最善のCO2排出削減システム(BSER)から除いた点が挙げられます。
新設・既存発電所におけるそれぞれのBSERと排出基準は以下の通り規定されました。
➀ 既存の石炭火力ボイラー
・2032年以前に廃止予定の場合:適用除外
・2032年以降も運転予定だが2039年までに廃止予定の場合:天然ガスの40%(入熱ベース)混焼、2030年までに排出率を16%削減(lb CO2/MWh 総排出量ベース)する排出制限付き
・2039年以降も運転予定の場合:2032年までにCO2を90%回収するCCS(排出率を88.4%削減(lb CO2/MWh 総排出量ベース)させる)
➁ 既存の天然ガスと石油火力ボイラー
・ベースロードユニット(年間設備利用率45% 以上)の場合:2030年までに1,400 lb CO2/MWh (635g CO2/kWh)総排出量ベース
・中間負荷ユニット(年間設備利用率8%~45%)の場合:2030年までに1,600 lb CO2/MWh (726g CO2/kWh)総排出量ベース
・低負荷ユニット(年間設備利用率8%未満)の場合:均一燃料、および石油火力の場合は170 lb CO2/MMBtu(77kg CO2/MMBtu)(推定インプットベース)、および天然ガス火力の場合は130 lb CO2/MMBtu(59kg CO2/MMBtu)
➂ 新設/改修の発電所
(1)フェーズI(公布~2032年)
・ベースロードユニット(年間設備利用率40% 以上)の場合:最適な操業とメンテナンスの実践による高効率のコンバインドサイクル発電、基本定格負荷が 2,000 MMBtu/h 以上の EGUは800 lb CO2/MWh (363g CO2/kWh)総排出量ベース、基本定格負荷が 2,000 MMBtu/h 未満の EGUは800~900 lb CO2/MWh (363~408g CO2/kWh)総排出量ベース
・中間負荷ユニット(年間設備利用率20%~40%)の場合:最適な操業とメンテナンスの実践を備えた高効率のシンプルサイクル技術、1,170 lb CO2/MWh(531g CO2/kWh) 総排出量ベース
・低負荷ユニット(年間設備利用率20%未満)の場合:排出量の少ない燃料(水素、天然ガス、留出油など)の使用
(2)フェーズII(2032年~)
・ベースロードユニット(年間設備利用率40% 以上)の場合:2032年までにCO2を90%回収するCCSによる高効率コンバインドサイクル発電を継続、100 lb CO2/MWh (45g CO2/kWh)総排出量ベース
・中間負荷ユニット(年間設備利用率20%~40%)の場合:(未設定)
・低負荷ユニット(年間設備利用率20%未満)の場合:(未設定)
詳細は以下をご覧ください。
米国EPAによるプレスリリース
最終規則
https://www.epa.gov/system/files/documents/2024-04/eo-12866_111egu_2060-av09_nfrm_20240424_final.pdf
BSERの一覧
https://www.epa.gov/system/files/documents/2024-04/cps-table-of-all-bser-final-rule-4-24-2024.pdf
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