令和8年度海洋理工学会論文賞を受賞しました

2026年08月

本論文は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)、株式会社サイエンスアンドテクノロジー(SAT)、日本エヌ・ユー・エス株式会社(JANUS)の4組織の協力の下、実施された研究の成果をまとめ、令和6年度に同学会学術誌「海洋理工学会誌」に掲載されたもので、令和8年6月12日、令和8年度論文賞を受賞しました。

【論文題名】海底熱水鉱床の開発に伴う環境影響評価のための環境影響予測モデルの開発
―海底かく乱試験に伴う濁りの再堆積の予測と検証 ― 

【著者】小松原 由美(SAT)、眞岩 一幸(JANUS)、宮澤 泰正(JAMSTEC)、石田 暁之(JOGMEC) 

【要旨】エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、海底熱水鉱床の開発に伴う環境への影響(例えば、濁流や再堆積の影響など)を定量的に評価する技術の開発に取り組んでいます。このプロジェクトの一環として、SUR採掘活動によって生じる濁流の影響を明らかにするために、2017年1月に沖縄海域において海底撹乱実験およびモニタリング調査を実施しました。JOGMECが開発した数値モデル(粒子追跡モデル)を用いて、実験中のこれらの影響の範囲と大きさを定量的に予測しました。本研究では、まずモニタリングデータに基づいて濁流発生の条件を数値モデルに設定し、実験期間中の再堆積の厚さと空間分布パターンをシミュレートする能力を検証しました。
 ADCPなどの観測データから推定された時間変動流れ場を用いたシミュレーション結果は、モニタリング結果の空間分布パターンや再堆積厚さと良好な一致を示しており、このモデルが海底熱水鉱床開発における環境影響評価のための予測ツールとして活用できることを示唆しています。さらに、流体力学モデルを用いた流れ場予測手法は、特に流速計などの観測データが不十分な状況において、予備的な影響予測を行う上で有効かつ正確です。この予備的な影響予測の結果は、モニタリング調査の計画立案に寄与する有用な情報として活用されることが期待されます。

【受賞理由】実測に基づく条件設定と検証により濁り・再堆積影響を定量的に評価可能とし、海底熱水鉱床の開発に向けたモニタリング調査計画の策定にも資する予測技術基盤を提供した本論文は、海洋理工学の発展に貢献するものと認められ評価されました。 

【関連URL】 
海洋理工学会ウェブサイトでの掲載:http://amstec.jp/award/paper_award.html