米国University of Oxford、同位体トレーサーを用いたCO2-EOR油田内のCO2挙動調査の成果論文公表

2022年01月07日

University of OxfordのRebecca Tyne博士とChris Ballentine教授が率いる国際研究チームによる、米国Louisiana州のCO2-EORを実施している油田内でのCO2の挙動の調査成果が、学術誌Natureに掲載されました(以下リンク参照)。

研究チームは、CO2-EOR油田の(生物)地球化学的組成を、隣接するCO2-EORが実施されたことのない油田と比較する調査を実施しました。 この調査のデータは、CO2-EORによって油田内に残ったCO2の最大74%が地下水に溶解したことを示唆するものでした。また、微生物のメタン生成により、圧入されたCO2の13?19%をCO2よりも強力な温室効果ガスであるメタンに変換したことも明らかになりました。

これは、最先端の同位体トレーサーのデータを微生物のデータと統合して、圧入されたCO2の挙動を調査する初の研究となっています。

University of Oxfordのプレスリリースによると、メタンはCO2よりも溶解性、圧縮性、反応性が低いため、生成された場合、当該サイトに安全に圧入できるCO2の量が減少する懸念があるとしています。ただし、このプロセスが特定されたことにより、将来のCCSサイトの選択で考慮に入れることができるようになるとしています。

温度は重要な条件であり、多くのCCSの対象となる地層は微生物にとって深すぎて高温となるが、CO2が浅く低温の地質構造に漏洩した場合、微生物が存在するため、このプロセスが生じる可能性が出てきます。このような条件を考慮することは、低リスクに長期のCO2を貯留するために不可欠としています。

詳細は以下をご覧ください。

学術誌Natureに掲載の論文の概要(オープンアクセス)
“Rapid microbial methanogenesis during CO2 storage in hydrocarbon reservoirs”
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04153-3

University of Oxfordによるプレスリリース
https://www.ox.ac.uk/news/2021-12-22-safer-carbon-capture-and-storage

関連ニュース
https://www.sciencedaily.com/releases/2021/12/211229133517.htm