GCMD、CO2船舶輸送の商業展開で港の整備不足が障壁となる研究結果
2024年04月03日
海運脱炭素化グローバルセンター(Global Centre for Maritime Decarbonisation:GCMD)がロイド船級協会(ロイドレジスター)および英国のエンジニアリング会社ARUPに委託した調査の結果、港湾の整備状況の不足が、船上CO2回収・貯蔵(OCCS)システムの採用を妨げる主要な障壁であると特定しました。回収したCO2を船上で荷降ろしするために必要な技術レベルは成熟していますが、CO2を安全に移送する運用は実証されていないとしています。
「Concept study to offload onboard captured CO2」と題されたこの報告書では、液化CO2(LCO2)を荷降ろしするためのインフラを備えている港は限られているものの、主に食品グレードのCO2を処理するように設計されていることが判明しました。このような設備の使用に伴高純度基準により、船上で回収されたCO2を処理する施設の相互運用性が制限されるとしています。
本研究では、船上での保管と輸送において液化CO2が最も効率的で費用対効果の高い選択肢である可能性が高いと判断されました。これに基づき、Ship-to-ShipやShip-to-Shoreなどの主要な荷降ろし方法となる4つのコンセプトを挙げ、これらを組み合わせることでより広範囲の方法を表すことができる構成要素として示しています。
これらの方法の運用可能性をランク付けし、大規模な荷降ろしにおいて、中間LCO2受入船を使用した船から船および船から陸への移送が最も有望な手段として特定されました。より小規模な場合やハイグレードのCO2を必要とする最終用途の場合には、ISOタンクコンテナに保管された回収CO2の船からターミナルへの移送が適しており、既存の港湾インフラとの互換性も高く、パイロット試験への適用が容易となるとしています。
この他にも、本研究では船内でのLCO2の取り扱いに伴う安全上の課題についても調査が実施されています。CO2に特有となるのは、気相、液相、固相が共存する三重点付近の条件での保管は不純物の影響を受けやすく、温度と圧力のわずかな変化により液体から固体への相変化が起こり、パイプの詰まりや圧力の上昇などの危険が生じる可能性があることを指摘しています。