背景と課題
海岸構造物に付着するフジツボ類やイガイ類、発電所取水口に出現するクラゲ類などが、構造物や施設の機能を損なう場合、これらの生物を汚損生物と呼びます。
フジツボ類やイガイ類は、取水設備や取水管等に大量に付着すると水の流れを塞いでしまいます。また、クラゲの大量発生は発電所における冷却水の取水に深刻な障害を与えます。その他にも、北米等海外では淡水産の二枚貝(ゼブラマッスル)による深刻な取水障害が問題となっています。
汚損生物は事業者(施設管理者)にとって厄介なものですが、生物学的にみれば見事に環境に適応しており、環境変化にも強いという特性をもっています。このように、したたかな生物の防汚対策には、施設の構造や地域特性の知識に加えて生物特性の理解が不可欠です。
代表的な汚損生物
上段左:配管内の生物被膜(スライム)、上段右:右上からカワヒバリガイ、ゼブラガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ
下段左:アカフジツボ、下段右:ヒドロ虫類
障害事例
サービス/技術
汚損生物は環境の変化に強く、単純な対策ではコストがかさむばかりです。JANUSでは数多くのユニークな技術開発を行っており、生物学的な視点から解決策を検討します。
JANUSは、「汚損生物による材質劣化に関する基礎研究」、「浮遊幼生等を用いた防汚物質のスクリーニング試験」、「モデル配管による防汚対策検討試験」、「出現時期を的確に評価する生物モニタリング」、「クラゲの来襲・処理技術」等の豊富な研究実績に基づき、様々な対策の中から最適な方法を提案し、お客様の防汚対策を強力に支援します。
業務実績/サービス例
- 防汚塗装の性能評価手法に関する調査研究
- 海水電解装置導入支援業務
- 海洋エネルギー発電技術に係る生物付着影響調査支援業務
参考文献
- 火力原子力発電技術協会編.発電所海水設備の汚損対策ハンドブック.恒星社厚生閣.2014.
- 勝山一朗、小林聖治、井川周三、経塚雄策、伊田匡志.潮流発電タービンブレード模型の生物汚損と防汚塗料の効果.Sessile Organisms.2014; 31(1):1–5.
- 小林聖治、勝山一朗.防汚塗料等のスクリーニング試験方法の紹介.海洋調査協会報.2011;106:23-28.
- 原猛也、勝山一朗、竹内成典、船橋信之.発電所取水設備の保守技術.火力原子力発電.2012;63(4):279-283.