背景と課題
風力発電の候補となっている地域のなかで、期待できる風力発電量の観点から、有望な発電タービン設置位置がどこであるかを事前に評価しておくことが重要です。これを風力発電に伴う風況評価と言われています。
風況評価のため、候補地域内で一定期間、風向風速の観測が行われますが、必ずしも風力発電タービンの設置位置での観測が可能ではありませんし、観測地点数をむやみに多くすることも現実的ではありません。それに、風の吹き方は地形や地表面の状況(地表面粗度として)の影響を受けるため、平坦地形の多い欧米とは違って複雑地形の多い日本では、地形を考慮した定量的な風況評価が重要になります。
サービス/技術
JANUSでは、3次元風場を用い、複雑地形に対応した風力発電量予測ツールであるARIA WINDにより、定量的な風況評価を行います。また、同ツールの販売、レンタルも行っています。
ARIA WINDは、フランス唯一の電力会社、フランス電力公社(EDF)の流体力学研究所の技術者がスピンオフして設立した、大気を主体とした流体解析のスペシャリスト集団であるARIA Technologies社が販売・サポートを行っている製品、サービスの1つです。
ARIA WINDは、地形の凹凸を反映した3次元の座標(z*座標)を用い、地面粗度による地上風プロファイルの違い、および地形の形状による風の流れの変化を考慮して、計算領域内の風場を求め(風況評価)、風力発電タービンの風速−発電量カーブに基づいて、計算領域内の風力発電量分布を予測します。
ARIA WINDによる評価例
ARIA WINDの特徴
- 広域から狭域まで幅広い領域を解析対象とします(ネスティング手法)
- 詳細な地形標高、及び土地利用情報(地面粗度)を考慮します
- 様々な気象データ(地表観測局、ソーダー、・・・)を取り入れて評価します
提供される情報
- 指定地上高における年間平均風速の2次元分布
- 指定風力発電タービンによる年間発電量の2次元分布
- 指定着目地点における年間発電量
- 指定気象条件下における、指定地上高の風向・風速の2次元分布