原子力は必要。だが、成功させるために何が必要か
本連載の第1回「なぜ日本に、なぜ今、原子力なのか」では、日本の将来において、なぜ原子力エネルギーが重要な役割を果たし得るのかを考察しました。日本は、エネルギー安全保障、輸入燃料への依存、電力需要の増加、経済競争力、そして炭素排出量削減の必要性という、複数の課題に直面しています。原子力発電は、比較的小さな敷地面積で、大量の安定した低炭素電力を供給しながら、これらの課題のそれぞれに重要な貢献をすることができます。
しかし、原子力エネルギーの必要性を認識することは、出発点にすぎません。次に問われるのは、原子力エネルギーが何十年にもわたってその役割を確実に果たしていくためには、何が必要なのかということです。原子力発電所は、安全かつ信頼性高く効率的に運転され、その実績が規制当局と国民の信頼を得て、電力システムに安定的に貢献し、さらに、それを支える組織や制度が発電所の運転期間を通じてそのパフォーマンスを維持できるとき、国にとって価値ある重要な資産となります。
安全性が不可欠な基盤であることに変わりはありませんが、原子力発電がその価値を十分に発揮するためには、それを支える技術、産業、規制、制度の仕組み全体が適切に機能することも重要です。数十年にわたる運転経験の蓄積とリスク評価の進展により、現在では、こうした仕組みをより適切に管理するとともに、安全性とパフォーマンスの向上に最も大きな効果をもたらす分野に重点を置き、資源を投入するための判断に活用できる情報が、以前よりも格段に充実しています。
国にとっての重要な資産を支える安全性
原子力エネルギーにおいて、安全性と国にとっての価値は切り離して考えることができません。高い安全実績を示すことのできない原子力発電所は、経済性、エネルギー安全保障、環境面といった便益を継続的に提供することができません。重大な安全上の事象は、個々の発電所だけでなく、国全体の原子力利用や国民の信頼にも長期にわたって影響を及ぼす可能性があります。日本自身の経験は、原子力安全、国民の信頼、規制への信頼、そして国のエネルギー政策が、いかに密接に結び付いているかを示しています。
したがって、高い安全実績を示すということは、規制要求への適合性を示す以上の価値があります。作業員と公衆を守り、発電所という大きな投資を守り、安定した電力供給を支え、原子力に関わる組織や制度への信頼を維持するとともに、原子力発電の継続的な利用や将来の原子力開発を支える基盤となります。
また、安全性は、発電所の運転期間を通じてリスクを理解し、継続的に管理していく能動的なプロセスとして捉える必要があります。その目的は、安全性に影響を及ぼし得る状態や事象を特定し、その重要性を理解したうえで、適切な発生防止対策、影響緩和対策を講じ、実際のパフォーマンスを監視し、新たに得られた情報を意思決定の改善に生かしていくことです。
安全性と高いパフォーマンスは相互に補完し合う目標
安全性と発電所のパフォーマンスは、ときに別々の目標として捉えられることがあります。しかし実際には、適切に管理された原子力施設では、両者は密接に結び付いています。高いパフォーマンスを発揮する発電所は、規律ある運転、効果的な保全、適切な構成管理、高い力量を備えた人材、高い機器信頼性、実効性のある是正措置プログラム、綿密な作業計画、継続的な監視によって支えられています。これらはいずれも、原子力安全を支える重要な要素です。
逆もまた同様です。機器故障の繰り返し、組織的な学習の不足、不十分な構成管理、適切でない保全は、安全性だけでなく発電パフォーマンスにも影響を及ぼし得ます。したがって目指すべきは、安全性、信頼性、パフォーマンスが相互に高め合うような運用の仕組みです。
このことは、意思決定にも重要な示唆を与えます。
技術的検討に充てられる人的資源、メンテナンスのためのリソース、定期検査期間、経営層の関与、規制当局の審査のためのリソース、そして投資額には、いずれも限りがあります。したがって、これらは安全性とパフォーマンスの向上に実質的な効果をもたらす活動に重点的に配分する必要があります。
原子力における「パフォーマンス」をより広く捉える
原子力発電を国にとって重要な資産として捉えるなら、その「パフォーマンス」は設備利用率だけで評価すべきものではありません。高いパフォーマンスを備えた原子力事業とは、発電所が安全かつ信頼性高く運転され、重要な安全上の問題が早期に把握され、機器の不具合が適切に是正され、定期検査・停止期間には適切な工程管理が行われるとともに、原子力発電を支える組織や制度がそれぞれの役割を十分に果たしている状態を指します。
こうした幅広い捉え方は、IAEAが2022年に公表した『Sustaining Operational Excellence at Nuclear Power Plants: Principles and Challenges(原子力発電所における運転上の卓越性の持続:原則と課題)』の考え方とも整合しています。同文書では、高いパフォーマンスを持続的に維持するためには、安全性、発電所のパフォーマンス、機器の信頼性、継続的な学習に加え、運転組織と、それを支えるより広範な関係組織との効果的な連携が重要であるとしています。
原子力発電を支える幅広い技術・産業・制度基盤
原子力発電を国にとって重要な資産として捉えるためには、原子炉そのものだけでなく、それを取り巻く幅広い要素に目を向ける必要があります。原子力を成功裏に導入していくためには、相互に結び付いたさまざまな能力や基盤が必要です。具体的には、強固で対応力のある運転組織、原子力品質の材料・機器・燃料・サービスを提供できる適格なサプライヤ、十分な経験を有する技術・規制人材、効果的なプロジェクト管理・建設能力、長期にわたる投資を支え得る資金調達の仕組み、強靱な燃料・製造サプライチェーン、ステークホルダーとの信頼に基づく対話、そして使用済燃料、放射性廃棄物、最終的な廃止措置を適切に管理できる組織・制度などです。
こうした「国にとっての重要な資産」という視点は、新たな原子力発電所の導入にも当てはまります。原子炉の建設は、単独で完結する一つの建設プロジェクトではありません。一つひとつのプロジェクトを成功させることは、国全体の技術力、産業基盤、規制能力、人材基盤の強化につながります。さらに、こうした成功を積み重ねることで、組織としての学習や産業基盤の蓄積が進み、時間の経過とともにプロジェクト遂行能力を高めていくことができます。逆に、プロジェクトが適切に遂行されなければ、これらの基盤を損なう可能性があります。
このような幅広い視点は、国際的なガイダンスとも整合しています。IAEAが2024年に改訂した『Milestones in the Development of a National Infrastructure for Nuclear Power(原子力発電導入のための国家インフラ整備におけるマイルストーン)』では、原子力発電計画を支える、相互に関連した19のインフラ整備項目が示されています。そこには、原子力安全、マネジメント、資金・資金調達、法制度・規制制度、人材育成、ステークホルダーの関与、核燃料サイクル、放射性廃棄物管理、産業界の参画、調達などが含まれます。マイルストーンアプローチは、主として原子力発電を新たに導入する国や、その利用拡大を図る国を対象として策定されたものですが、その中心的な考え方はより広く当てはまります。すなわち、持続可能な原子力事業を実現するためには、複数の能力や基盤を並行して整備し、それらが相互に連携しながら機能することが必要だということです。
同様のシステム全体を捉える視点は、米国原子力規制委員会(NRC)の元委員長であるRichard Meserve博士が委員長を務めた、全米科学・工学・医学アカデミーの2023年コンセンサス報告書『Laying the Foundation for New and Advanced Nuclear Reactors in the United States(米国における新設炉・先進炉のための基盤整備)』にも見られます。同報告書は米国を対象としたものですが、原子力を成功裏に導入するためには、原子炉技術だけでなく、それをはるかに超える幅広い要素を含むシステム全体としての課題に取り組む必要があるという点で、同様の考え方を示しています。
日本の政策文書にも、ほぼ同様の視点が示されています。原子力委員会の『令和7年度版原子力白書』では、原子力利用と併せて、国民からの信頼、イノベーション、人材、原子力サプライチェーンなどを取り上げています。また、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でも、安全性を大前提としつつ、エネルギー安全保障、経済効率性、脱炭素化、そして将来の原子力発電の役割が併せて検討されています。
本連載は、原子力の許認可や運転に関する規制面を主なテーマとしていますが、こうした幅広い視点も重要です。これは、原子力の導入・運転を成功させるために必要な、より広範な仕組みの一部として、規制の近代化の適切な位置付けを説明するためです。
発電後も続く原子力の責任
原子力エネルギーに伴う責任は、電力を生み出した時点で終わるものではありません。使用済燃料は、安全に貯蔵・管理していく必要があります。放射性廃棄物についても、その特性を把握し、処理、輸送、貯蔵を行ったうえで、最終的には技術的に妥当で、社会から信頼される仕組みの下で処分する必要があります。また、施設のライフサイクル全体を通じて、廃止措置に伴う責任と、そのための資金確保についても考えておかなければなりません。
こうしたバックエンドの課題が特に重要なのは、原子力発電の便益は主として運転期間中に得られるものの、それに伴う責任の一部は、運転終了後も何十年にもわたって続くためです。したがって、持続可能な原子力事業を実現するためには、そうした責任を将来にわたって適切に果たせるよう、必要な制度、資金の仕組み、技術的能力、長期的な政策が継続して確保されることへの信頼が必要です。
この考え方は、全米科学・工学・医学アカデミーが2023年に公表した報告書『Merits and Viability of Different Nuclear Fuel Cycles and Technology Options and the Waste Aspects of Advanced Nuclear Reactors(各種核燃料サイクルおよび技術選択肢の利点と実現可能性、ならびに先進炉の廃棄物に関する論点)』でも示されています。同報告書では、核燃料サイクルの選択肢と併せて、放射性廃棄物の輸送、貯蔵、処分について検討しています。『令和7年度版原子力白書』でも、廃止措置、放射性廃棄物、核燃料サイクルの将来に大きな重点が置かれています。バックエンドを社会的にも技術的にも信頼される形で管理していくことは、原子力発電を長期にわたって持続可能なものとするための重要な要素です。
原子力を支える国の基盤としての規制の実効性
明確で、技術的に妥当で、安定した、予見性を備えた規制の枠組みは、許認可判断にとどまらず、より幅広い影響を及ぼします。電力事業者、原子炉開発企業、投資家、サプライヤ、さらには原子力分野の能力整備に取り組む組織にとって、許認可上の要求事項やスケジュール、技術的に何が求められるのか、そして規制判断がどのような根拠に基づいて行われるのかについて、一定の見通しを持てることは重要です。そのため、規制上の不確実性は、原子力を取り巻くより広範な仕組み全体における投資の不確実性の一因となります。
ここでいう予見性とは、将来の規制判断の結果をあらかじめ見通せるという意味ではありません。規制要求が一定の安定性を持ち、安全上の重要度が体系的に考慮され、判断の技術的根拠が明確で、新たな情報についても透明性のある手続きの中で評価されることを意味します。規制の枠組みが実効的であるというだけで、原子力導入をめぐる幅広い課題をすべて解決することはできません。しかし、回避可能な不確実性を減らし、長期的な投資を支える環境づくりに貢献することはできます。
日本の2023年GX脱炭素電源法は、既設原子力発電所の継続利用に関するエネルギー政策上の判断と、独立した原子力安全規制との違いを示す一つの例です。同法では、原則40年、最長60年という運転期間の枠組みを維持しつつ、事業者から見て他律的な一定の停止期間については、60年の算定から除外できることとされました。さらに重要なのは、従来の原子炉等規制法における運転期間に係る規定を「利用」と「規制」の観点から峻別し、電気事業法と原子炉等規制法に再整理したことです。継続利用に関する判断は、経済産業省が所管するエネルギー政策の枠組みに位置付ける一方、高経年化した原子炉の安全性については、原子力規制委員会による規制を強化しました。この整理は、既存の発電設備を今後も利用していくかという判断と、その設備が引き続き安全に運転できるかという判断は相互に関係しているものの、それぞれ目的が異なることを示しています。
規制当局が安全確保という使命をどのように果たすかは、国民の信頼にも影響します。原子力に対する社会的な支持は、経済性、エネルギー政策、環境面での評価、運転実績、使用済燃料や放射性廃棄物に対する考え方など、さまざまな要因に左右されます。その中でも、原子力安全を担う組織への信頼は重要です。独立性を備え、高い技術的能力と透明性を有する規制当局が、安全上必要な場合には適切に対応し、その判断の技術的根拠を明確に説明することは、こうした信頼の形成に大きく貢献します。
日本の『令和7年度版原子力白書』でも、国の原子力をめぐる議論の中で、国民からの信頼が一つの重要なテーマとして明確に位置付けられています。もちろん、規制だけで国民の信頼を得られるわけではありません。しかし、ある問題がなぜ重要なのか、その安全上の重要度をどのように判断したのか、どのような予防措置が必要なのか、そして実際のパフォーマンスをどのように監視していくのかを明確に説明できる規制の枠組みは、規制判断に対する信頼を高めることにつながります。
保守性をより的確に適用するために
原子力安全は、これまで保守性を重視することで大きな恩恵を受けてきました。原子力規制の初期には、事故に伴う多くの不確かさや、発電所リスクに影響する要因を、現在のような手法で定量化することはできませんでした。そのため、安全確保に当たっては、あらかじめ定められた設計上の対策、保守的な仮定、安全裕度、多重性、多様性、複数のバリア、深層防護などに大きく依存していました。こうした考え方は、不確かさに対して強固な防護をもたらすとともに、許認可や規制判断に一貫性と予見性を与えてきました。
その後、運転経験が蓄積され、確率論的リスク評価(PRA)が発展するにつれて、規制当局や事業者は、どのような事象、系統、機器、活動がリスクに大きく寄与するのかを、より適切に把握できるようになりました。これにより、決定論的な工学的判断、深層防護、適切な安全裕度を引き続き重視しながら、安全上の重要度が高い事項に、より意識的に重点を置くことが可能になりました。これは、保守性を低下させるということではなく、リスク、不確かさ、発電所のパフォーマンス、深層防護をより幅広く、かつ一体的に理解したうえで、保守性をより体系的かつ適切に適用していくということです。
こうした変化は、単なる概念上のものではありません。米国では、保守規則、Regulatory Guide 1.174、原子炉監視プロセス(ROP)などを通じて、リスク情報を活用したパフォーマンスベースのアプローチが数十年にわたり段階的に導入されてきました。米国でのこれまでの運用経験は、決定論的な工学的判断、深層防護、適切な安全裕度を維持しながら、リスク情報を体系的に活用することで、安全上重要な事項に規制の重点を置くことが可能であることを示しています。さらに近年では、こうした原則が10 CFR Part 53として制度化され、将来の商用原子力プラントの許認可・規制について、リスク情報を活用したパフォーマンスベースかつ技術包括的な枠組みを、従来制度に代わる選択肢として利用できるようになりました。この意味でPart 53は、数十年にわたる規制経験の中で発展してきた考え方を、さらに制度として定着させたものといえます。
日本でも、こうしたアプローチの一部を規制に取り入れてきた実績があります。2020年4月に本格運用が開始された原子力規制検査制度は、安全上の重要度に応じて検査の重点をより明確にすることを意図した制度です。原子力規制委員会は、同制度にリスク情報や安全実績指標を取り入れていると説明しており、原子力規制庁の研究でも、リスク情報を活用した検査や、検査指摘事項の重要度を判定するプロセスが示されています。こうした実績は、リスク情報を活用したパフォーマンスベースの考え方が、すでに日本の規制の枠組みに取り入れられていることを示しています。今後の論点は、こうした原則を将来の規制判断に、どこまで幅広く、かつ体系的に活用していくかということです。
今後に向けて:より良い意思決定のための規制の近代化
第1回では、日本が直面するエネルギー上の課題と、原子力発電が果たし得る役割について考察しました。今回の記事では、原子力発電がその役割を十分に果たしていくために何が必要かを取り上げました。そのためには、幅広い仕組みと、継続的な国民の信頼に支えられた、安全で信頼性が高く、高いパフォーマンスを発揮する原子力発電が必要です。規制はその仕組みの一部ですが、原子力を支えるさまざまな意思決定や投資のあり方に大きな影響を及ぼすという点で、特に重要な役割を果たします。
ここまでの議論から、自然に一つの重要な問いが浮かび上がります。日本が原子力エネルギーにこうした役割を期待するのであれば、安全で持続的な原子力のパフォーマンスを支えるために、どのような規制上の意思決定の枠組みが最も適しているのでしょうか。
これまで述べてきた規制やリスク評価の進展により、この問いをより的確に考えるための土台が整ってきています。現在の規制当局や事業者は、既存の規制体系の多くが整備された当時には利用できなかった解析手法、運転経験、パフォーマンス情報を活用できるようになり、人的、組織的なパフォーマンスについての理解も深まっています。重要なのは、適切な深層防護、安全裕度、規制の独立性を維持しながら、こうした情報を体系的に活用していくことです。
次回の「より良い意思決定のための規制の近代化」では、この問いを正面から取り上げます。近代的なリスク情報を活用したパフォーマンスベースの規制枠組みの中で、決定論的な工学的判断、深層防護、リスク情報、運転経験、パフォーマンス情報をどのように組み合わせるのか、また、これまでの実績から、こうしたアプローチが規制上の意思決定にどのような効果をもたらすことが分かっているのかを考察します。日本にとって、規制の近代化をさらに進めることは、しばしば別々に捉えられがちな二つの目標、すなわち、高い水準の原子力安全を維持することと、原子力エネルギーを日本の将来に最大限生かすことを、両立させるうえで重要な役割を果たし得ます。
そのどちらの実現にも、適切な意思決定が不可欠です。
References
- International Atomic Energy Agency. 2024. Milestones in the Development of a National Infrastructure for Nuclear Power, IAEA Nuclear Energy Series No. NG-G-3.1 (Rev. 2). Vienna: IAEA.
IAEA publication page:https://www.iaea.org/publications/15516/milestones-in-the-development-of-a-national-infrastructure-for-nuclear-power - National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 2023. Laying the Foundation for New and Advanced Nuclear Reactors in the United States. Washington, DC: The National Academies Press. DOI: 10.17226/26630.
National Academies report / DOI:https://doi.org/10.17226/26630 Interactive report page: :https://nap.nationalacademies.org/resource/26630/interactive/ - National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 2023. Merits and Viability of Different Nuclear Fuel Cycles and Technology Options and the Waste Aspects of Advanced Nuclear Reactors. Washington, DC: The National Academies Press. DOI: 10.17226/26500.
National Academies report / DOI:https://doi.org/10.17226/26500 National Academies report page:https://nap.nationalacademies.org/catalog/26500/merits-and-viability-of-different-nuclear-fuel-cycles-and-technology-options-and-the-waste-aspects-of-advanced-nuclear-reactors - Japan Atomic Energy Commission. 2026. FY2025 Nuclear Energy White Paper (Reiwa 7 Edition). June 2026.
Official White Paper page:https://www.aec.go.jp/kettei/hakusho/2025/pdf/ Full White Paper PDF (Japanese): https://www.aec.go.jp/kettei/hakusho/2025/pdf/zentai.pdf - Government of Japan. 2025. Seventh Strategic Energy Plan, Cabinet Decision, February 18, 2025.
Official Strategic Energy Plan page (English):https://www.enecho.meti.go.jp/en/category/others/basic_plan/ 7th Strategic Energy Plan – English outline PDF:https://www.enecho.meti.go.jp/en/category/others/basic_plan/pdf/7th_outline.pdf Full official Strategic Energy Plan PDF (Japanese):https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/2025_strategic_energy_plan.pdf - Government of Japan. 2023. Act No. 44 of 2023, Act for Partial Revision of the Electricity Business Act and Other Acts for Establishing Electricity Supply Systems for Realizing a Decarbonized Society.
Official law text – House of Representatives (Japanese):https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/21120230607044.htm Official METI explanation of the nuclear operating-period provisions (English):https://www.meti.go.jp/english/press/2023/0912_001.html - Nuclear Regulation Authority of Japan. Nuclear Regulatory Inspection: overview and implementation of the inspection system introduced in April 2020.
NRA overview / implementation-status PDF (English):https://www.nra.go.jp/data/000335125.pdf NRA nuclear regulatory inspection documents page (Japanese):https://www.nra.go.jp/activity/regulation/kiseikensa/guide_index.html - Nuclear Regulation Authority of Japan, Regulatory Standard and Research Department. 2022. Research on PRA Methods and Their Application to Safety Regulation, RREP-2022-2002.
RREP-2022-2002 PDF (NRA):https://www.nra.go.jp/data/000392321.pdf
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原子力は必要。だが、成功させるために何が必要か
本連載の第1回「なぜ日本に、なぜ今、原子力なのか」では、日本の将来において、なぜ原子力エネルギーが重要な役割を果たし得るのかを考察しました。日本は、エネルギー安全保障、輸入燃料への依存、電力需要の増加、経済競争力、そして炭素排出量削減の必要性という、複数の課題に直面しています。原子力発電は、比較的小さな敷地面積で、大量の安定した低炭素電力を供給しながら、これらの課題のそれぞれに重要な貢献をすることができます。
しかし、原子力エネルギーの必要性を認識することは、出発点にすぎません。次に問われるのは、原子力エネルギーが何十年にもわたってその役割を確実に果たしていくためには、何が必要なのかということです。原子力発電所は、安全かつ信頼性高く効率的に運転され、その実績が規制当局と国民の信頼を得て、電力システムに安定的に貢献し、さらに、それを支える組織や制度が発電所の運転期間を通じてそのパフォーマンスを維持できるとき、国にとって価値ある重要な資産となります。
安全性が不可欠な基盤であることに変わりはありませんが、原子力発電がその価値を十分に発揮するためには、それを支える技術、産業、規制、制度の仕組み全体が適切に機能することも重要です。数十年にわたる運転経験の蓄積とリスク評価の進展により、現在では、こうした仕組みをより適切に管理するとともに、安全性とパフォーマンスの向上に最も大きな効果をもたらす分野に重点を置き、資源を投入するための判断に活用できる情報が、以前よりも格段に充実しています。
国にとっての重要な資産を支える安全性
原子力エネルギーにおいて、安全性と国にとっての価値は切り離して考えることができません。高い安全実績を示すことのできない原子力発電所は、経済性、エネルギー安全保障、環境面といった便益を継続的に提供することができません。重大な安全上の事象は、個々の発電所だけでなく、国全体の原子力利用や国民の信頼にも長期にわたって影響を及ぼす可能性があります。日本自身の経験は、原子力安全、国民の信頼、規制への信頼、そして国のエネルギー政策が、いかに密接に結び付いているかを示しています。
したがって、高い安全実績を示すということは、規制要求への適合性を示す以上の価値があります。作業員と公衆を守り、発電所という大きな投資を守り、安定した電力供給を支え、原子力に関わる組織や制度への信頼を維持するとともに、原子力発電の継続的な利用や将来の原子力開発を支える基盤となります。
また、安全性は、発電所の運転期間を通じてリスクを理解し、継続的に管理していく能動的なプロセスとして捉える必要があります。その目的は、安全性に影響を及ぼし得る状態や事象を特定し、その重要性を理解したうえで、適切な発生防止対策、影響緩和対策を講じ、実際のパフォーマンスを監視し、新たに得られた情報を意思決定の改善に生かしていくことです。
安全性と高いパフォーマンスは相互に補完し合う目標
安全性と発電所のパフォーマンスは、ときに別々の目標として捉えられることがあります。しかし実際には、適切に管理された原子力施設では、両者は密接に結び付いています。高いパフォーマンスを発揮する発電所は、規律ある運転、効果的な保全、適切な構成管理、高い力量を備えた人材、高い機器信頼性、実効性のある是正措置プログラム、綿密な作業計画、継続的な監視によって支えられています。これらはいずれも、原子力安全を支える重要な要素です。
逆もまた同様です。機器故障の繰り返し、組織的な学習の不足、不十分な構成管理、適切でない保全は、安全性だけでなく発電パフォーマンスにも影響を及ぼし得ます。したがって目指すべきは、安全性、信頼性、パフォーマンスが相互に高め合うような運用の仕組みです。
このことは、意思決定にも重要な示唆を与えます。
技術的検討に充てられる人的資源、メンテナンスのためのリソース、定期検査期間、経営層の関与、規制当局の審査のためのリソース、そして投資額には、いずれも限りがあります。したがって、これらは安全性とパフォーマンスの向上に実質的な効果をもたらす活動に重点的に配分する必要があります。
原子力における「パフォーマンス」をより広く捉える
原子力発電を国にとって重要な資産として捉えるなら、その「パフォーマンス」は設備利用率だけで評価すべきものではありません。高いパフォーマンスを備えた原子力事業とは、発電所が安全かつ信頼性高く運転され、重要な安全上の問題が早期に把握され、機器の不具合が適切に是正され、定期検査・停止期間には適切な工程管理が行われるとともに、原子力発電を支える組織や制度がそれぞれの役割を十分に果たしている状態を指します。
こうした幅広い捉え方は、IAEAが2022年に公表した『Sustaining Operational Excellence at Nuclear Power Plants: Principles and Challenges(原子力発電所における運転上の卓越性の持続:原則と課題)』の考え方とも整合しています。同文書では、高いパフォーマンスを持続的に維持するためには、安全性、発電所のパフォーマンス、機器の信頼性、継続的な学習に加え、運転組織と、それを支えるより広範な関係組織との効果的な連携が重要であるとしています。
原子力発電を支える幅広い技術・産業・制度基盤
原子力発電を国にとって重要な資産として捉えるためには、原子炉そのものだけでなく、それを取り巻く幅広い要素に目を向ける必要があります。原子力を成功裏に導入していくためには、相互に結び付いたさまざまな能力や基盤が必要です。具体的には、強固で対応力のある運転組織、原子力品質の材料・機器・燃料・サービスを提供できる適格なサプライヤ、十分な経験を有する技術・規制人材、効果的なプロジェクト管理・建設能力、長期にわたる投資を支え得る資金調達の仕組み、強靱な燃料・製造サプライチェーン、ステークホルダーとの信頼に基づく対話、そして使用済燃料、放射性廃棄物、最終的な廃止措置を適切に管理できる組織・制度などです。
こうした「国にとっての重要な資産」という視点は、新たな原子力発電所の導入にも当てはまります。原子炉の建設は、単独で完結する一つの建設プロジェクトではありません。一つひとつのプロジェクトを成功させることは、国全体の技術力、産業基盤、規制能力、人材基盤の強化につながります。さらに、こうした成功を積み重ねることで、組織としての学習や産業基盤の蓄積が進み、時間の経過とともにプロジェクト遂行能力を高めていくことができます。逆に、プロジェクトが適切に遂行されなければ、これらの基盤を損なう可能性があります。
このような幅広い視点は、国際的なガイダンスとも整合しています。IAEAが2024年に改訂した『Milestones in the Development of a National Infrastructure for Nuclear Power(原子力発電導入のための国家インフラ整備におけるマイルストーン)』では、原子力発電計画を支える、相互に関連した19のインフラ整備項目が示されています。そこには、原子力安全、マネジメント、資金・資金調達、法制度・規制制度、人材育成、ステークホルダーの関与、核燃料サイクル、放射性廃棄物管理、産業界の参画、調達などが含まれます。マイルストーンアプローチは、主として原子力発電を新たに導入する国や、その利用拡大を図る国を対象として策定されたものですが、その中心的な考え方はより広く当てはまります。すなわち、持続可能な原子力事業を実現するためには、複数の能力や基盤を並行して整備し、それらが相互に連携しながら機能することが必要だということです。
同様のシステム全体を捉える視点は、米国原子力規制委員会(NRC)の元委員長であるRichard Meserve博士が委員長を務めた、全米科学・工学・医学アカデミーの2023年コンセンサス報告書『Laying the Foundation for New and Advanced Nuclear Reactors in the United States(米国における新設炉・先進炉のための基盤整備)』にも見られます。同報告書は米国を対象としたものですが、原子力を成功裏に導入するためには、原子炉技術だけでなく、それをはるかに超える幅広い要素を含むシステム全体としての課題に取り組む必要があるという点で、同様の考え方を示しています。
日本の政策文書にも、ほぼ同様の視点が示されています。原子力委員会の『令和7年度版原子力白書』では、原子力利用と併せて、国民からの信頼、イノベーション、人材、原子力サプライチェーンなどを取り上げています。また、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でも、安全性を大前提としつつ、エネルギー安全保障、経済効率性、脱炭素化、そして将来の原子力発電の役割が併せて検討されています。
本連載は、原子力の許認可や運転に関する規制面を主なテーマとしていますが、こうした幅広い視点も重要です。これは、原子力の導入・運転を成功させるために必要な、より広範な仕組みの一部として、規制の近代化の適切な位置付けを説明するためです。
発電後も続く原子力の責任
原子力エネルギーに伴う責任は、電力を生み出した時点で終わるものではありません。使用済燃料は、安全に貯蔵・管理していく必要があります。放射性廃棄物についても、その特性を把握し、処理、輸送、貯蔵を行ったうえで、最終的には技術的に妥当で、社会から信頼される仕組みの下で処分する必要があります。また、施設のライフサイクル全体を通じて、廃止措置に伴う責任と、そのための資金確保についても考えておかなければなりません。
こうしたバックエンドの課題が特に重要なのは、原子力発電の便益は主として運転期間中に得られるものの、それに伴う責任の一部は、運転終了後も何十年にもわたって続くためです。したがって、持続可能な原子力事業を実現するためには、そうした責任を将来にわたって適切に果たせるよう、必要な制度、資金の仕組み、技術的能力、長期的な政策が継続して確保されることへの信頼が必要です。
この考え方は、全米科学・工学・医学アカデミーが2023年に公表した報告書『Merits and Viability of Different Nuclear Fuel Cycles and Technology Options and the Waste Aspects of Advanced Nuclear Reactors(各種核燃料サイクルおよび技術選択肢の利点と実現可能性、ならびに先進炉の廃棄物に関する論点)』でも示されています。同報告書では、核燃料サイクルの選択肢と併せて、放射性廃棄物の輸送、貯蔵、処分について検討しています。『令和7年度版原子力白書』でも、廃止措置、放射性廃棄物、核燃料サイクルの将来に大きな重点が置かれています。バックエンドを社会的にも技術的にも信頼される形で管理していくことは、原子力発電を長期にわたって持続可能なものとするための重要な要素です。
原子力を支える国の基盤としての規制の実効性
明確で、技術的に妥当で、安定した、予見性を備えた規制の枠組みは、許認可判断にとどまらず、より幅広い影響を及ぼします。電力事業者、原子炉開発企業、投資家、サプライヤ、さらには原子力分野の能力整備に取り組む組織にとって、許認可上の要求事項やスケジュール、技術的に何が求められるのか、そして規制判断がどのような根拠に基づいて行われるのかについて、一定の見通しを持てることは重要です。そのため、規制上の不確実性は、原子力を取り巻くより広範な仕組み全体における投資の不確実性の一因となります。
ここでいう予見性とは、将来の規制判断の結果をあらかじめ見通せるという意味ではありません。規制要求が一定の安定性を持ち、安全上の重要度が体系的に考慮され、判断の技術的根拠が明確で、新たな情報についても透明性のある手続きの中で評価されることを意味します。規制の枠組みが実効的であるというだけで、原子力導入をめぐる幅広い課題をすべて解決することはできません。しかし、回避可能な不確実性を減らし、長期的な投資を支える環境づくりに貢献することはできます。
日本の2023年GX脱炭素電源法は、既設原子力発電所の継続利用に関するエネルギー政策上の判断と、独立した原子力安全規制との違いを示す一つの例です。同法では、原則40年、最長60年という運転期間の枠組みを維持しつつ、事業者から見て他律的な一定の停止期間については、60年の算定から除外できることとされました。さらに重要なのは、従来の原子炉等規制法における運転期間に係る規定を「利用」と「規制」の観点から峻別し、電気事業法と原子炉等規制法に再整理したことです。継続利用に関する判断は、経済産業省が所管するエネルギー政策の枠組みに位置付ける一方、高経年化した原子炉の安全性については、原子力規制委員会による規制を強化しました。この整理は、既存の発電設備を今後も利用していくかという判断と、その設備が引き続き安全に運転できるかという判断は相互に関係しているものの、それぞれ目的が異なることを示しています。
規制当局が安全確保という使命をどのように果たすかは、国民の信頼にも影響します。原子力に対する社会的な支持は、経済性、エネルギー政策、環境面での評価、運転実績、使用済燃料や放射性廃棄物に対する考え方など、さまざまな要因に左右されます。その中でも、原子力安全を担う組織への信頼は重要です。独立性を備え、高い技術的能力と透明性を有する規制当局が、安全上必要な場合には適切に対応し、その判断の技術的根拠を明確に説明することは、こうした信頼の形成に大きく貢献します。
日本の『令和7年度版原子力白書』でも、国の原子力をめぐる議論の中で、国民からの信頼が一つの重要なテーマとして明確に位置付けられています。もちろん、規制だけで国民の信頼を得られるわけではありません。しかし、ある問題がなぜ重要なのか、その安全上の重要度をどのように判断したのか、どのような予防措置が必要なのか、そして実際のパフォーマンスをどのように監視していくのかを明確に説明できる規制の枠組みは、規制判断に対する信頼を高めることにつながります。
保守性をより的確に適用するために
原子力安全は、これまで保守性を重視することで大きな恩恵を受けてきました。原子力規制の初期には、事故に伴う多くの不確かさや、発電所リスクに影響する要因を、現在のような手法で定量化することはできませんでした。そのため、安全確保に当たっては、あらかじめ定められた設計上の対策、保守的な仮定、安全裕度、多重性、多様性、複数のバリア、深層防護などに大きく依存していました。こうした考え方は、不確かさに対して強固な防護をもたらすとともに、許認可や規制判断に一貫性と予見性を与えてきました。
その後、運転経験が蓄積され、確率論的リスク評価(PRA)が発展するにつれて、規制当局や事業者は、どのような事象、系統、機器、活動がリスクに大きく寄与するのかを、より適切に把握できるようになりました。これにより、決定論的な工学的判断、深層防護、適切な安全裕度を引き続き重視しながら、安全上の重要度が高い事項に、より意識的に重点を置くことが可能になりました。これは、保守性を低下させるということではなく、リスク、不確かさ、発電所のパフォーマンス、深層防護をより幅広く、かつ一体的に理解したうえで、保守性をより体系的かつ適切に適用していくということです。
こうした変化は、単なる概念上のものではありません。米国では、保守規則、Regulatory Guide 1.174、原子炉監視プロセス(ROP)などを通じて、リスク情報を活用したパフォーマンスベースのアプローチが数十年にわたり段階的に導入されてきました。米国でのこれまでの運用経験は、決定論的な工学的判断、深層防護、適切な安全裕度を維持しながら、リスク情報を体系的に活用することで、安全上重要な事項に規制の重点を置くことが可能であることを示しています。さらに近年では、こうした原則が10 CFR Part 53として制度化され、将来の商用原子力プラントの許認可・規制について、リスク情報を活用したパフォーマンスベースかつ技術包括的な枠組みを、従来制度に代わる選択肢として利用できるようになりました。この意味でPart 53は、数十年にわたる規制経験の中で発展してきた考え方を、さらに制度として定着させたものといえます。
日本でも、こうしたアプローチの一部を規制に取り入れてきた実績があります。2020年4月に本格運用が開始された原子力規制検査制度は、安全上の重要度に応じて検査の重点をより明確にすることを意図した制度です。原子力規制委員会は、同制度にリスク情報や安全実績指標を取り入れていると説明しており、原子力規制庁の研究でも、リスク情報を活用した検査や、検査指摘事項の重要度を判定するプロセスが示されています。こうした実績は、リスク情報を活用したパフォーマンスベースの考え方が、すでに日本の規制の枠組みに取り入れられていることを示しています。今後の論点は、こうした原則を将来の規制判断に、どこまで幅広く、かつ体系的に活用していくかということです。
今後に向けて:より良い意思決定のための規制の近代化
第1回では、日本が直面するエネルギー上の課題と、原子力発電が果たし得る役割について考察しました。今回の記事では、原子力発電がその役割を十分に果たしていくために何が必要かを取り上げました。そのためには、幅広い仕組みと、継続的な国民の信頼に支えられた、安全で信頼性が高く、高いパフォーマンスを発揮する原子力発電が必要です。規制はその仕組みの一部ですが、原子力を支えるさまざまな意思決定や投資のあり方に大きな影響を及ぼすという点で、特に重要な役割を果たします。
ここまでの議論から、自然に一つの重要な問いが浮かび上がります。日本が原子力エネルギーにこうした役割を期待するのであれば、安全で持続的な原子力のパフォーマンスを支えるために、どのような規制上の意思決定の枠組みが最も適しているのでしょうか。
これまで述べてきた規制やリスク評価の進展により、この問いをより的確に考えるための土台が整ってきています。現在の規制当局や事業者は、既存の規制体系の多くが整備された当時には利用できなかった解析手法、運転経験、パフォーマンス情報を活用できるようになり、人的、組織的なパフォーマンスについての理解も深まっています。重要なのは、適切な深層防護、安全裕度、規制の独立性を維持しながら、こうした情報を体系的に活用していくことです。
次回の「より良い意思決定のための規制の近代化」では、この問いを正面から取り上げます。近代的なリスク情報を活用したパフォーマンスベースの規制枠組みの中で、決定論的な工学的判断、深層防護、リスク情報、運転経験、パフォーマンス情報をどのように組み合わせるのか、また、これまでの実績から、こうしたアプローチが規制上の意思決定にどのような効果をもたらすことが分かっているのかを考察します。日本にとって、規制の近代化をさらに進めることは、しばしば別々に捉えられがちな二つの目標、すなわち、高い水準の原子力安全を維持することと、原子力エネルギーを日本の将来に最大限生かすことを、両立させるうえで重要な役割を果たし得ます。
そのどちらの実現にも、適切な意思決定が不可欠です。
References
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